一角獣の目

忘れないための日記帳

シナモンの香りがする薬

    ごく最近まで、自分が生きて行くのにお金がかかることが本当に煩わしくて、とても申し訳ないと思っていた。生きることに確固たる目的はないし、お金をかけても私の心根がひん曲がっているのは変わりゃしないのだから、こんな人間に投資するなんておかしい、今すぐ安楽死させて欲しいとかいうことをずっと考えて、病院に行くのも嫌で、高いお金を払って薬を飲むのも嫌で、よりよく生きるために薬屋へ行っているはずが、会計の時間になると死にたさが加速していた。鳥とか、栗鼠とか、そういうものになりたいと思っていた。

  今日も薬屋に行った。心は暗かったが、近況を報告して、血圧等を測って、その後担当の薬剤師さんにこう言われた。「数値が正常値に近づいて行ってますよ、がんばってますね。」なんだか、涙が出そうだった。認めてもらえるようながんばりなんてしていないし、人に褒められるのはなんだか居心地が悪くなってしまうのでどちらかというと苦手だけれど、今日は何故だか嬉しかった。会計の時も、電卓に表示された数字を見て「がんばろう」と思えた。人は勝手に生まれて勝手に死んで行くだけ、けれどどうせ生きるなら楽しく生きたい。