一角獣の目

忘れないための日記帳

 今日、髪を切っていただいた男性の理容師の方が、とてもきれいな指をしていた。その指が前髪を切るべく顔の前にやってくるたびに、鼻息が荒いとか思われたらどうしようと考えて、私は息を止めた。ド近眼の私は、散髪されているときには眼鏡を外さなくてはならないために全く周囲が見えず、鏡を見ることさえできない。私の瞳がギリギリ輪郭線を捉えることのできる顔から15センチ先のところで、左手薬指のリングが光っていた。

 私は自分の手が嫌いだ。こどもっぽくて、指は太いし、ペンだこもあるし、肉もついていて、右手の小指はかつての骨折の痕で少し歪に曲がっている。父親の手によく似ている。きれいな手になりたいなあと、最近指のマッサージを始めた。身体が痩せていくのと一緒に、指も細くなっていけたらいいと思う。